はじめに
学校を卒業し、よしがんばろう!と憧れの社会に出たものの、思うようにいかない、、、
「こんなはずじゃなかった」「もしかして、自分には向いていないのでは?」と悩むことは、誰にでもあるのではないでしょうか。
でも、実はそれは自然なことなのです。
人は新しい環境に入ると、今までできていたことが急にできなくなったり、自分の個性が発揮しにくくなったりすることがあります。
特に、自分とは違うタイプの人が多い職場では、「ここでやっていけるのか?」と不安になることもあるでしょう。
私自身も、外科医としての道を歩み始めた頃、まさにその壁にぶつかりました。
今回は、私の経験をもとに、「向いていないかも…」と感じることが、実は飛躍のチャンスになる理由をお話ししたいと思います。
1. 「苦手」と感じるのは、成長の前触れ
私が最初に飛び込んだ外科の世界は、いわゆる“体育会系”の雰囲気でした。
元気で、積極的で、勢いがあって、ノリがいい──みんな声が大きくて、自信満々に意見を言うタイプの人ばかり。
それに対して、私はどちらかというと真逆の性格。
人前で話すのは苦手だし、じっくり考えてから行動するタイプ。そんな私が、スピードとチームワークが命の外科チームに馴染めるのか? 正直、毎日が試練でした。
周りの先輩たちは、的確に指示を出し、手際よく動き、ハキハキと発言する。でも私は、どうしても一歩出遅れてしまう。みんなの勢いに圧倒され、「本当に自分はここにいていいのか?」と感じる日々。
劣等感に苛まれ、「向いていないのかも…」と悩んだことは何度もあります。
実際、はっきりと「お前は向いていない」と言われたことも何度もありました。
でも、不思議と「やめよう」とは思いませんでした。
2. 「向いていない」と言われても、夢を諦めなかった理由
なぜなら、私は自分の夢を諦めたくなかったから。
子どもの頃から、私は外科医になることを夢見ていました。
盲腸の手術をして、技術を磨いて、子どもたちを治していく—–それが私の憧れだったのです。
「自分の性格がどうだとか、周りと違うとか、そんなことはどうでもいい。」
ただ、夢を叶えたい。その一心でここに立ち続けました。
確かに、外科の世界では“ノリの良さ”や“積極性”が求められることが多い。
でも、私は無理に周りに合わせて「できるふり」をするのではなく、真正面から自分の性格と向き合い、どうすればこの環境の中で真剣に前に進めるかを考え続けました。
その結果、「外科医とはこうあるべき」という従来のイメージを覆すような、より深みのある外科医の道を歩むことができたのです。
3. 仲間として認められた瞬間
最初は「お前、向いていないよ」と言われた外科の現場。
しかし、私が黙々と努力を続けるうちに、少しずつ周囲の見方が変わっていきました。
先輩たちは、最初は私のことを「おとなしくて消極的なタイプ」と思っていたかもしれません。
でも、私がじっくりと患者さんと向き合い、一つひとつの手技を丁寧にこなしていく姿を見て、むしろ重宝されるようになっていったのです。
気づけば、先輩から「お前の眼差しはいいな」と声をかけられるようになり、「お前は希少価値のあるやつだよ」と冗談交じりに言われることも増えました。
そしてある日、先輩が「飯、一緒にいこう」と誘ってくれました。
最初は驚きましたが、次第にそうした声が増え、気づけば先輩や仲間たちに自然と受け入れられるようになっていました。
さらには、患者さんからも「先生にお願いしたい」と指名を受けることが増えていきました。
こうして、かつて「向いていない」と思っていた環境の中で、私は自分の居場所を見つけることができたのです。
数年が経ち、外科医としての道を歩み続ける中で、私は心から思いました。
「あのとき、諦めなくて本当によかった。」
まとめ
「向いていない」「周りと違う」—–それを理由に夢を諦めてしまうのは、本当にもったいないことです。
大切なのは、できるふりや、ごまかすこと、取り繕うことではなく、真面目にコツコツと自分と向き合うこと。
そして、何よりも忘れないでほしいのは、「やってみよう」「がんばってみよう」と最初に思った純粋な気持ち、夢を持ったときの気持ちを大事にすることです。
他人と比べて落ち込むのではなく、自分に素直になり、ピュアな気持ちで毎日、現場と向き合っていきましょう。
確かに、自分とは違うタイプの人たちに囲まれると、不安や劣等感を感じることもあるでしょう。
でも、それは決して「自分がダメだから」ではなく、「自分にしかない強みを見つけるチャンス」なんです。
もし今、「向いていないのでは」と悩んでいる人がいたら、どうかすぐに諦めないでください。
あなたの夢は、あなたにしか叶えられないものです。
あなたの努力は、きっと誰かに届き、あなたの未来を豊かにしてくれるはずです。
そしていつか、あなた自身も「諦めなくてよかった」と思える日がくることでしょう。