「誰に大丈夫って言ってもらうかが大事?」
この問いは、単に「誰か」に言葉を求めるものではありません。 私たちが心の底から求めているのは、
- 「この人に任せたい」という絶対的な信頼
- 「この人の言うことを聞いて安心したい」という切実な願い
- 「この人だからこそ納得できる」という深い安心感
- そして究極的には、「この人の言うことなら、たとえ結果が思わしくなかったとしても、後悔はない」とさえ思える、深い委ねる心
この4つが重なり合った時、人は初めて心の底から救われるのです。
プロフェッショナルとしての真価は、この心の動きを、職種を問わず、医療を支えるすべての人が生み出せるかどうか、にかかっています。
信頼、安心、納得、委ねる心への渇望:医療従事者共通の願い
簡単なケースであれ、難しいケースであれ、患者さんが最も求めるのは「この人に任せたい」という気持ちです。
これは、医療に関わるすべての従事者に共通して言えることです。
「この人になら自分のすべてを委ねられる」
「この人の判断を信じて安心したい」
そう思える相手の存在が、安心への第一歩であり、納得への礎となり、そして最終的には、結果さえも委ねられるという信頼へと繋がります。
情報が過多な現代において、私たちは常に不安に晒されています。
症状について調べれば、瞬時に大量の情報が手に入ります。
専門家の意見を聞くことも可能です。しかし、情報だけでは心の隙間を埋めることはできません。
真の安心と納得を得るためには、信頼できる人からの言葉、そしてその言葉を受け入れる心の準備が必要なのです。
さらに、時には、安易に「秘伝」や「手の内」といった表面的なテクニックやスキルを手に入れれば、同じように成功を再現できると考える人もいますが、
一過的に真似できたとしても、それを継続し、真に人の心を動かすことは難しいでしょう。
土台となる深い経験や人間性がなければ、信頼は決して生まれないのです。
そして、時には、その人を信じることで、結果に対する不安さえも乗り越えようとするのが人間です。
信頼、安心、納得、委ねる心を生み出すプロセス:職種を超えたプロフェッショナリズム
では、どのようにすれば「この人に任せたい」という信頼を勝ち得て、「この人の言うことを聞いて安心したい」「この人だからこそ納得できる」、そして「この人の言うことなら、たとえ結果が思わしくなかったとしても、後悔はない」という感情に繋げることができるのでしょうか?
その答えは、やはり地道な努力の積み重ね、「農場の法則」にあります。
自身の内面と技術を、日々の研鑽を通して丁寧に磨き上げること。
それこそが、信頼を築き、人の心を動かす唯一の道と言えるでしょう。
これは、医師に限らず、看護師であれば看護スキルや患者さんへのケア、事務スタッフであれば正確な事務処理能力や丁寧な対応、清掃スタッフであれば清潔で心地よい環境の提供、栄養士であれば患者さんに合わせた栄養管理など、それぞれの職種における専門性と人間性を高めることを意味します。
その道のりは、決して平坦ではありません。
時に、努力が報われず、劣等感や不安に苛まれることもあるかもしれません。
しかし、そうした困難を乗り越え、もがきながらも成長を続ける過程で、人間としての深みとプロフェッショナルとしての実力が養われていくのです。
真の信頼は、一朝一夕には築かれません。
豊富な経験と深い人間性を兼ね備えた人だけが、「この人に任せたい」という感情を生み出し、その言葉に重みを与えることができます。
そして、「この人に任せたい」という信頼があって初めて、「この人の言うことを聞いて安心したい」「この人だからこそ納得できる」、そして究極的には「この人の言うことなら、たとえ結果が思わしくなかったとしても、後悔はない」という心の動きが生まれるのです。
「任せたい」から始まる心の救済と委ねる境地:チーム医療における信頼
医療現場を例に考えてみましょう。
Aさんは、ある症状が心配で病院を受診しました。 心の中では「きっと大丈夫だろう」と思っていても、本当に大丈夫かどうかは確信が持てません。
その症状は、医学的に見れば心配のないものかもしれません。 ネットや書籍で調べても、問題なさそうに思えるかもしれません。
病院のスタッフも、「おそらく大丈夫でしょう」と言うかもしれません。
しかし、ここで重要なのは、知識やスキルだけでは、人の不安を完全に取り除くことはできないということです。
人が心の底から求めているのは、「この人に任せたい」という絶対的な安心感。
そして、その安心感があって初めて、「この人の言うことを聞いて安心したい」「この人だからこそ納得できる」、そして最悪の事態さえ受け入れようとする「この人に委ねよう」という心の境地に至り、救済がもたらされるのです。
これは、医師一人の力で成り立つものではありません。 看護師の温かいケア、事務スタッフの丁寧な対応、リハビリ担当者の熱心なサポート、清掃スタッフの清潔な環境、栄養士の適切な食事、それぞれの専門性と人間性が融合して初めて、患者さんは「このチームに任せたい」という安心感を抱くことができるのです。
私自身の研修医時代に、非常に印象的な経験があります。
まだ医療経験も浅く、手術の技術も未熟だった頃のことです。 指導医の先生方から叱られてばかりで、自信を失いかけていた私は、とにかく患者さんのベッドサイドに足を運び、話を聞き、少しでも不安を取り除けるように努めました。
また、検査や手術の準備など、自分にできることを丁寧にこなすように心がけていました。
すると、ある時、患者さんから「ぜひ、あなたが私の担当医になって、色々と相談に乗ってほしい」という言葉をいただきました。
まだまだ力不足だった私にとって、この言葉は信じられないほど嬉しいものでした。
そして、技術だけではなく、患者さんとのコミュニケーションや誠意ある対応も、医療において非常に重要な要素であることを、身をもって知ることができたのです。
この経験は、医師としてだけでなく、医療チームの一員として、患者さんから信頼を得ることの大切さを教えてくれました。
そして、それは医師に限らず、すべての医療従事者に共通して言えることだと、強く感じています。
感情、安心、納得、委ねる心への対価:信頼が生む最高の医療体験
院長である私も、「この人に任せたい」と思われるプロフェッショナル、そして「このチームに任せたい」と思われる医療機関を目指し、日々精進しています。
人間は、論理だけで動く存在ではありません。
私たちが心の奥底で切実に求めているのは、感情的な安心感、深い納得、そして、時に全てを委ねられるという信頼です。
「この人に任せたい」という揺るぎない信頼感を得られたとき、人はそれに見合うだけの価値を支払いたいと思うのです。
だからこそ、表面的な知識やスキルを伝えるだけでは、人の心を動かし、納得を得ることはできません。
豊富な経験を通して得たものを、自身の脳と体に深く刻み込んでいくこと。
それによって初めて、職種を超えた信頼が生まれ、「この人に任せたい」という感情、「この人の言うことを聞いて安心したい」という願い、「この人だからこそ納得できる」という心の動き、そして「このチームになら、たとえ結果が思わしくなかったとしても、後悔はない」という究極の信頼に繋がるのだと信じています。
終わりなき探求:医療全体の質の向上を目指して
もちろん、「この人に任せたい」と思われるようになることは、決して最終目標ではありません。
常に学び続け、成長し続けることが、プロフェッショナルとしての使命です。
私は、その努力を人生の一部として捉え、日々の習慣のように続けていきたいと思っています。
終わりはなく、完璧もない。 それでも、自分が先頭を走り続けることで、後に続く医療従事者の方々に少しでも勇気や希望を与えられたら、これほど嬉しいことはありません。 そして、それが医療全体の質の向上に繋がると信じています。
その想いを胸に、これからも精進してまいります。