「最近、辛いことばかりで、自分は不幸なんじゃないか」と思ったことはありませんか?
私たちは日々の生活の中で、思い通りにいかないことや辛い出来事に直面するたびに、そう考えてしまうことがあります。
実は、私自身も多くの困難を経験してきましたし、日々しんどいことも多いのが現状です。でも、振り返ってみると、「しんどいことも多いけれど、不幸だとは思ったことは一度もない」のです。
今日は、私自身の体験をもとに、「辛いことがある中でも、なぜ不幸だと感じないのか」をお話しし、そこから見えてきた「幸せの本質」について考えていきたいと思います。
辛いことがたくさんあっても、不幸だと感じたことは一度もない
私がクリニックを運営し、日々多くの患者さんやスタッフ、そして家族と関わる中で、正直言って「楽しい」と言える時間ばかりではありません。
突発的なトラブルが起きたり、予想もしない問題に頭を悩ませたりすることも日常茶飯事です。時には、「どうしていいのかわからない」「逃げ出したい」と思うような瞬間も、たくさんあります。
仕事の責任は重く、プレッシャーは絶え間なくのしかかります。家族のことやスタッフのことで心を痛めることも、夜中に眠れなくなることも少なくありません。
それでも、不思議なことに「自分は不幸だ」と思ったことは一度もありません。それどころか、「自分は幸せだ」と感じる瞬間がいつも心の中にあります。
その理由は、辛い経験の中にも、自分を支えてくれる「人間関係」があるからだと思います。
例えば、困難な状況の中でともに悩み、考え、行動してくれるスタッフや家族の存在、そして彼らの成長を目にするたびに、「ここに幸せがある」と実感するのです。
辛い瞬間も、実は「幸せの種まき」の時間
辛い時間や大変な瞬間は、決して楽しいものではありません。正直、そんなときは「もう投げ出してしまいたい」と思うこともあります。
ですが、振り返ってみると、そうした瞬間こそが私自身の人生を豊かにし、人間関係を深め、幸せを育むための「種まき」の時間だったと気づかされるのです。
例えば、クリニックの運営では、多くの人々と連携しながら業務を進めていきます。そこで求められるのは、自分の都合だけでは動けないという現実を受け入れることです。
予定通りにいかないことも、思わぬトラブルに巻き込まれることも日常茶飯事。しかし、そうした困難をともに乗り越えていく過程で生まれる信頼や絆は、何物にも代えがたい価値があります。
スタッフが成長し、自分自身もまた学びを得る中で、いつしか「大変だったけれど、あの経験があったからこそ今がある」と感じられるようになるのです。
家族との関わりも同じです。子どもの成長を見守る中で、心配や不安、そして葛藤はつきものです。時には「どうしていつもこうなってしまうのだろう」と思うこともありますが、それでもその過程があるからこそ、家族の絆が深まり、幸せを感じる瞬間が生まれるのだと実感しています。
辛さの先にある「本当の喜び」
では、なぜ私は「辛いことがあっても不幸だと思わない」のでしょうか。それは、辛さや苦しみの先に、いつも「本当の喜び」があることを知っているからです。
簡単に手に入る喜びや楽しさは、一時的で一過性のものです。ですが、時間をかけて努力し、試行錯誤を重ねた先に手にした喜びは、何にも代えがたい価値を持っています。
たとえば、スタッフがハードなトレーニングを経て成長し、自信を持って仕事に向き合う姿を見るとき。家族と衝突しながらも、いつしか笑顔で向き合えるようになったとき。そんな瞬間には、「辛い時期があったからこそ、今この幸せがある」と心から思えるのです。
人間関係を深めていくには、多くの時間と労力が必要です。相手の気持ちを理解する努力、相手を優先する行動、そして時には我慢も必要です。
これらは決して楽しいことではありませんし、簡単なことでもありません。でも、そうした辛い時間を受け入れ、乗り越えていくことで得られる「本当の幸福」は、一過性の楽しさを超えた深い満足感を与えてくれます。
幸せとは、人間関係の中で育まれるもの
私がこれまでの経験を通じて確信しているのは、「幸せは人間関係の中で育まれる」ということです。たとえ一人でも信頼できる人がいて、その人との絆が深いものであれば、それだけで人生は豊かになります。
もちろん、人間関係を築くことは簡単ではありません。アドラー心理学でも「人間の悩みのすべては人間関係にある」と言われている通り、多くの困難が伴います。
でも、その困難を乗り越えた先にこそ、本当の喜びが待っています。例えば、勤務医時代の経験を超えて、今のクリニックを運営する中で得られる仲間との絆に、何倍もの幸せを感じています。
忙しくてバタバタする日々でも、チームとして一緒に目標に向かう中で、「この関係性があるからこそ、自分は幸せなんだ」と感じるのです。
まとめ 「辛い時間」は幸せの一部
幸せとは楽しいことばかりではありません。むしろ、辛い時間や苦しい経験の中で、私たちは人間関係を深め、幸せを育んでいきます。
だからこそ、辛い瞬間が訪れたとき、それを「不幸」と決めつけるのではなく、「これは幸せの種をまいている時間なのだ」と捉えてみてほしいと思います。
辛い経験の先にこそ、必ず新しい発見や喜びが待っています。そのプロセスを通じて、あなたの人生はより豊かになり、本当の意味での「幸せ」に近づいていくと、私は信じています。