リーダーとして活躍するためには、まず「基準」の考え方を見直すことが不可欠です。この基準とは、私たちが子どもの頃から自然に身につけてきた「自分基準」ではなく、相手や組織、チームのための「相手基準」を指します。
この「相手基準」を理解し、行動に移せるかどうかが、本物のリーダーとしての成長の鍵を握っています。本記事では、具体例を交えながら、自分基準から相手基準に切り替える重要性を解説します。
自分基準から相手基準へ〜リーダーが最初に身につけるべき視点〜
社会人として、そして次世代のリーダーとして成長するためには、「相手基準」に基づいた行動が求められます。
子どもの頃は、自分の感情や欲求を優先し、「自分がこうしたい」という判断で動いていたかもしれません。家族や友人関係であれば許される部分もあります。
しかし、社会人として、さらにリーダーとして活動する場では、それでは通用しません。求められるのは、「相手が何を必要としているのか」を考え、行動する力です。
たとえば、私たちの医療機関では、「患者さんに安全で質の高い医療を提供する」という使命があります。
この目標を達成するためには、一人ひとりが自己流の判断で行動するのではなく、組織全体の基準や方向性を理解し、それに沿った行動を徹底することが必要です。
スポーツに例える「基準」の重要性
リーダーに必要な「基準」を理解するために、スポーツの例を挙げてみましょう。たとえばサッカーには「手を使わない」というルールがあります。
しかし、もし選手が「このぐらいなら大丈夫だろう」と自己判断で手を使ってしまったらどうなるでしょうか? その行動はチーム全体に迷惑をかけ、試合の結果にも悪影響を与えます。
自分勝手な「基準」を持ち込むのではなく、スポーツのルール=組織やチーム全体で共有されている基準を守ることが、信頼されるリーダーへの第一歩です。
職場は家族や友達の関係ではない
リーダーを目指す上で忘れてはならないのが、職場は家族や友達のような関係ではないという点です。
家族や友達の間では、「失敗しても仕方ないよ」「これくらいは許してあげてもいいんじゃない?」といった、自分基準の優しさが許されることがあります。
しかし、職場は異なります。職場では、目標に向かって共に進むビジネスパートナーとしての関係性が基本です。リーダーとしての役割は、感情だけで動くのではなく、相手基準に基づいてチームを正しい方向へ導くことです。
たとえば、医療の現場では、「自分基準」が以下のような危険な行動につながることがあります。
- 「早く終わらせるために、安全確認を省略する」
- 「仲間のミスを指摘せず、かばってしまう」
- 「自分はこれで十分だと思う」
- 「みんなそうしている(流されてしまう)、、」
これらは患者さんの命を守る使命に背く行為であり、結果的に組織全体の信頼を失わせてしまいます。
リーダーとして求められるのは、ミスを正しく指摘し、仲間を正しい基準へ導く力です。それこそが、リーダーに求められる真の優しさであり、チーム全体の成長を促します。
「せっかくやってあげたのに」と思う前に
相手基準で行動する中で注意したいのが、「自分は良かれと思ってやったのに、それが評価されない」という場面です。
たとえば、あるスタッフが「自分のやり方で」親切だと思う行動を取ったとしても、それが組織の基準に合致していなければ、評価されないことがあります。
「せっかくやってあげたのに」と感じるとき、それは自分基準に基づいた行動だった可能性が高いのです。リーダーとして求められるのは、「自分基準ではなく相手基準に基づいて動く」こと。そして、その基準が仲間やチーム全体を高める行動につながるかを常に考える視点です。
クリニックの基準と価値観
私たちのクリニックでは、例えば、以下の価値観や基準を大切にしています:
- 感謝すること
- 成長すること
- 助け合うこと
- 協力し合うこと
こうした基本的な価値観に基づき、具体的なアクションとして、「挨拶」「整理整頓」「報告・連絡・相談の徹底」「主体的に行動(流されない)」といった日常的な実践行動を通して、組織全体の信頼と成長を支えていくことが重要です。特に、リーダーとしては、これらの基準を自分が率先して体現する姿勢が重要です。
まとめ~次世代リーダーとして活躍するために~
次世代リーダーとして活躍するためには、「自分基準」から脱却し、「相手基準」を理解し、行動に移すことが不可欠です。
職場は家族や友達のような関係ではなく、ビジネスパートナーとしての責任を共有する場です。その中でリーダーとしての役割を果たすには、感情や自己判断ではなく、組織の基準に基づいて冷静に行動する姿勢が求められます。
基準を守ることは、仲間の信頼を得てチームを導くリーダーとしての第一歩です。ぜひこの考え方を日々の仕事や生活に取り入れ、次世代のリーダーとしてさらなる成長を目指していきましょう。