「指示に従う」ことの本当の意味 〜基礎を固める大切さを学ぶ〜
仕事をしていると、「どうしても上司の指示通りに動けない…」と感じること、あると思います。自分では言われた通りにやっているつもりなのに、気づけば上司から「違う」と指摘されてしまったり、、、「従っているつもり」「少しは自分なりに考えてみたい」という気持ち、迷い、焦りもあって、「どうしたらいいのだろう?」と、もどかしい思いを抱える方も多いと思います。
一方、医療の現場では、上司やリーダーからの指示を正確に、迅速に実行することが求められます。医療チームとして「患者さんの安全を守る」という共通のゴールを目指す中で、情報や指示の伝達にズレがあってはならないからです。そのため、私たち(小森こどもクリニック)は日々、「基本の型」を学び、「指示に従う型」の実践の徹底を身につけることを大事にしています。
今日は、そんな「指示に従うこと」の重要性と、どうしたら「指示に的確に従って動ける」か?について、実際のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。
「気を利かせる」ことで起きるミス 〜息子との会話から学んだこと〜
私には小学生の息子がいます。彼もまた「指示に従うこと」を日々学んでいる最中です。先日、こんなことがありました。
私は次男に、「〇〇を2階の棚に片付けてきてくれる?」と頼みました。すると、彼はこう答えたのです。「前にお風呂場の棚に入れたから、今回もそこに置いていい?」と。彼なりに「前はこうしたから、今回もそうすればいいだろう」という気遣いがあったのだと思います。
ただ、ここで私が求めていたのは「2階の棚」に片付けること。小さなことかもしれませんが、ここでの違い「言われた通りに実行する能力」と「自分なりの判断で行動してしまう」かで、上司(父)からの指示に基づく、結果は大きく変わってしまいます。
息子は少し考えて、「わかった、2階のどの棚かもう一回教えて?」と聞き返してくれました。このやり取りを通じて、「まずは言われた通りに動くこと」の大切さが少しでも伝わったようです。そして最後に、「気を利かせてくれてありがとう。でも、今回はお願いした通りにしてくれて助かったよ」と声をかけました。
職場で起こりがちな、上司やリーダーからの指示を頂いたものの、素直に(ストレート)に目的を達成できず、叱られてしまう、事例に似ていると思いました。この違いを、私たちも理解し、学び、実践していく継続性が必要だと感じました。
あなたの学ぶ段階や、現場のニーズや状況にもよりますが、例えば私たちの医療現場では、上司やリーダーの指示が、各部門に速やかに伝わり、実践されることが、安心安全な医療につながるため、「指示通りに動ける力」は、少なくとも必要な土台の一つです。
今回の我が家の事例では、私は息子にこう伝えました。「前はそうだったかもしれないけれど、今回は2階の棚に置いてほしいんだ。お父さんがお願いした通りにやってみよう」と。
指示に従うことは「信頼」を築く第一歩
医療の現場でも、同じようなことが言えます。新人のうちは特に、「こうした方がいいんじゃないか?」という自分の考えが「無意識」でも入ることで、上司が意図していることと少しズレてしまうことがあります。しかし、このズレが積み重なると、上司からの指示が正確に伝わらなくなるリスクが生じるのです。
もちろん、上司の伝え方にも改善点はあるかもしれません。ただ、どの職場にもさまざまなタイプのリーダーがいる中で、まずは「純粋」な気持ちで「指示に従う」という基本を身につけることが、長い目で見れば自分の成長に繋がります。
医療現場では、新人が一人前として信頼されるまでに、まずは「言われた通りにやる」という段階が欠かせません。上司からの信頼を得て初めて、「自分の意見を反映させてみていいよ」と任される瞬間が訪れるのです。それまでは、基礎を固める訓練だと思って、まずは愚直に実践してみましょう。
自分も通った道 〜小児外科医としての基礎作り〜
私自身も、小児外科医として基礎を叩き込む時期は、最初は「何もできない」「技術もない」自分でしたので、「ただ指示されたことをやるだけ」の日々から修行が始まりました。その中にあり、「言われた通り」にやったつもりでも、上司の意図と少しでもズレてしまう結果となる日々で、その都度、厳しく指導され、何度も壁にぶつかりました。上司の真意を汲み、期待通りに「行動し、結果を出す」ことは、最初は簡単にできないものです。それでも、「相手の期待」に添えるように、愚直に行動、素直に実行を反復することで、少しずつ結果を出せるようになっていきました。
そして、そうした経験を積んでいくうちに、上司から信頼され、少しずつ自分の意見も取り入れてもらえるようになりました。
まとめ 〜基礎を固める大切さ〜
指示に従うことは、決して「自分を押し殺す」ことではありません。むしろ、自分を成長させるための大切なプロセスです。最初のうちは、「ただの作業」と感じるかもしれませんが、上司の意図をくみ取り、それを忠実に実行する力がつけば、いずれ「あなたに任せるよ」と言われる瞬間が来ます。それが、社会人としての信頼を得るための第一歩なのです。
もし今、指示通りに動くことに悩んでいるなら、「まずは基礎を固めるための訓練期間だ」と捉えてみてください。自分の思い通りにいかずに悩むこともあるかもしれませんが、それを乗り越えることで、確かな自信と信頼を手に入れることができるはずです。
少しでも、この話があなたの参考になれば嬉しいです。