職場での報告や上司・患者さんとのコミュニケーションが苦手なあなたへ〜現場で自信をつけるための実践ガイド〜

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上司への報告、職場のコミュニケーションは「体当たり」で学ぶもの

職場での報告やコミュニケーションに苦手意識を持つ新人さん、けっこう多いのではないでしょうか。上司への報告や連絡のタイミングがつかめず、なかなか次のステップに進めない。何を、いつ、どのように報告すべきか迷っているうちに、タイミングを逃してしまい、結果的に仲間や関係者に迷惑をかけてしまう——こんな悪循環に陥ってしまうこと、ありませんか。

実は、私の職場にもそんな悩みを抱える新人のメンバーがいました。あるとき、そのメンバー(仮にAさんとしましょう)と、報告や職場でのコミュニケーションについて話したことを思い出します。

「まずは体当たりして学ぼう」というアドバイス

Aさんは、頭の中で「どうすれば怒られないだろう?」「正解は何だろう?」と悩み、完璧にこなそうとするあまり、行動がフリーズしてしまっていたようです。気持ちはよく分かります。誰だってミスは避けたいし、恥ずかしい思いはしたくないですからね。でも、こうした「正解探し」の思考が、かえって行動を止めてしまうこともあるのです。

私はAさんにこう伝えました。

「報告やコミュニケーションのタイミングって確かに難しいけれど、まずは現場で実践あるのみ。試行錯誤しながら学んでいくもの。早すぎても怒られるし、遅すぎても怒られることもある。学ぶ、身につけるとは、そんなもの。これは、自転車に乗る練習やボールを打つ練習と同じで、最初は転んだり空振りしたりして、その加減を体で覚えるしかないし、体を使って練習しなければ、できるようにならない。頭の中で考えているだけでは、身につけることはできないから、まずは現場でやってみよう!」

つまり、上司やリーダーへの報告も、職場でのコミュニケーションも、頭で考えすぎるよりまずは行動に移してみることが大切なのです。どんなに「正しいやり方」をシミュレーションしても、実際にやってみなければタイミングや伝え方の「コツ」は掴めません。報告の技術も、コミュニケーションの技術も、「体当たりで学んで身につけるもの」なのです。

「報告や職場、患者さんとコミュニケーションする技術は、自転車やボールを打てるようになるプロセスと全く同じ」ということです。

「現場で体得する」ことの大切さ

Aさんに伝えたかったのは、「技術も姿勢も、リアルな現場で学ぶもの」ということです。職場の仲間や患者さんとの距離感、上司への適切な報告のタイミング——こういったコミュニケーションスキルは、机上の学習だけでは身につかないものです。洋服の試着や自転車の練習と同じで、実際に現場で試行錯誤しながら「手応え」を体に刻み込んでいくことが、何より大切な学びになります。

Aさんも、最初は報告のタイミングを見誤って叱られたり、必要以上に気を使いすぎて遅れてしまうこともありました。しかし、その経験を重ねるうちに少しずつ自信が芽生え、上司や仲間への報告もスムーズになり、コミュニケーションの距離感が掴めるようになってきたのが感じられました。その成長を見られたことは、私にとってもとても嬉しい瞬間でした。

私自身も「体当たり」で学んできた

実は、私自身も研修医の頃、報告のタイミングやコミュニケーションの方法でよく失敗していました。「君の言ってることは分かりづらい」「報告のタイミングが早すぎる」「遅すぎる」と、何度も叱られました。振り返ると、当時はネットも今ほど発達しておらず、調べられる情報も限られていたため、実際の現場で失敗を重ねながら学ぶしかありませんでした。必要以状に情報(知識)を探すこともなかったことで、かえってそれが良かったのかなとも思います。

もちろん、医学部で学ぶ知識も重要ですが、現場ではそれ以上に「体当たりで実践する経験」が不可欠だと痛感しました。現場でのリアルな人間関係の中で、報告のタイミングやコミュニケーションの距離感を「自分の血となり肉となる」まで身につけていくことが、何よりも価値のある学びだったと感じます。

私の体感覚として、学生時代の知識は数%で、現場の学びが98%という実感です。

今はネットでマニュアルや手順を簡単に調べられる便利な時代です。しかし、情報を探しすぎるあまり「答え探し」に迷い、行動に移せなくなってしまうこともあります。頭の中で「こうするべきか、ああするべきか」と迷っているだけでは、本当の意味での成長には繋がりません。

大事なのは、それを現場で体得する勇気と、失敗を恐れず挑戦し続ける姿勢。そして、経験を通して少しずつ成長していく心構えです。

まとめ 〜まずは行動して、失敗から学ぶことが成長の近道〜

新人の皆さんに伝えたいのは、「報告の技術、職場でのコミュニケーションは、現場で失敗しながら身につけていくもの」ということです。ネットや教科書で「正解」を探すことも大切ですが、それ以上に、現場で体当たりで学ぶ経験が欠かせません。失敗して叱られることもあるかもしれませんが、それもまた成長のための大切なステップです。

その体験を重ねることで、いずれは自分自身が後輩に「私もそうだったから大丈夫だよ」「あなたもできるようになる」と本物のアドバイスができる日が来ます。失敗も成功も、すべてが成長の糧になります。少しずつ自信をつけて、職場で生き生きと報告やコミュニケーションができる自分を目指していきましょう。

当院の理念

当院では真に人の役に立てる医療人、次世代を担う医療リーダーの育成・輩出を目指し、切磋琢磨しています。

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この記事を書いた人

小森塾塾長

小森塾塾長 小森広嗣

小児科医師(小森こどもクリニック理事長、院長)、人財育成コンサルタント、「7つの習慣実践会」認定ファシリテーター

小児医療、健康教育、人財育成を通し、日本を元気にすること!!が使命です。本質を考え、悩みに方向性を与える力を大切に診療、教育活動をしています。

志ある仲間と共に成長の階段を登りながら、愛のある医療チーム創りを目標に、小森塾を開校しました。

ストレングスファインダー:未来志向、成長促進、戦略性、達成欲、学習欲

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