忙しい人ほど感じる“ふとした不安”の理由と心を整える方法

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忙しい毎日を送る中で、ふとした瞬間に訪れる「余裕のある時間」。その時間はリフレッシュのチャンスであるはずなのに、不思議と不安や落ち着かなさを感じてしまうことがありませんか?

特に、忙しいことに慣れている人ほど、突然生まれたその余白が逆に不安を引き起こすことがあります。この現象には脳の仕組みであるデフォルトモードネットワーク(Default Mode Network、以下DMN)が深く関係しています。

この記事では、「忙しさとリラックスの間に必要なバランス」について、脳の重要な機能である「DMN(デフォルトモードネットワーク)」の仕組みを交えながら、忙しい日常を過ごす皆さんに向けてその対処法をお伝えします。

1. 忙しさとリラックスの間にある「バランス」の重要性

私たちの人生は、常にバランスの上に成り立っています。忙しい時は忙しいなりのバランスがあり、リラックスできる時にはリラックスモードなりのバランスがあります。この「状況に応じたバランスの取り方」を身につけることが、心身の健康を保つ鍵になります。

例えば、高速道路を高速で走り続けることに慣れている人が、突然一般道に入ると「スピードが遅く感じて落ち着かない」と感じることがあります。

逆に、一般道をゆっくり走ることに慣れている人が、高速道路に入るとドキドキしてしまうこともあります。人生はこうした「高速道路」と「一般道」の間を行き来するようなもので、状況が変わるたびに、心身への影響を受けますので、この変化の時のバランスの取り方に慣れることが必要です。

この時、重要なのは「バランスが変わったことを認識する」ことです。

忙しい時からリラックスへ、またその逆の変化を受け入れることで、心身のバランスを大きく崩さずに済みます。変化を無視したり、無理に「元の状態に戻そう」とすると、不安が増してしまうこともあります。

2. デフォルトモードネットワーク(DMN)の役割とその影響

脳の中には「デフォルトモードネットワーク(DMN)」と呼ばれる仕組みがあります。このDMNは、意識的に何かを考えたり集中したりしていない「ぼーっとしている時間」に働くネットワークで、脳が情報を整理・整頓し、記憶を定着させたり、アイデアを生み出したりする役割を持っています。

つまり、DMNは私たちの脳にとって「休息と整理の時間」を担う非常に重要なものです。たとえば、一見何もしていない時間に、その日の出来事を振り返り、感情や記憶を整理し、未来を考える—そんなプロセスがDMNによって進められています。

しかし、DMNが過剰に発現してしまうと問題が生じます。特に、普段から忙しい生活を送っている人は、急に余裕が生まれるとDMNが一気に活性化し、不安やネガティブな反芻(はんすう)思考(過去の失敗を繰り返し思い返すことなど)に陥りやすいのです。本来はリラックスする時間が、不安を増幅させる時間になってしまうことがあります。

また、疲れたからといって、1日中「ぼーっとして過ごす」と、DMNが過剰に活動し、脳のエネルギーを逆に消費してしまいます。その結果、疲労感がさらに悪化し、心身の回復が遅れてしまうこともあります。適度にDMNを働かせながら、リラックスと活動のバランスをとることが大切です。

このようなDMNの過剰な発現を防ぐためには、日常生活の中で「忙しい時のバランス」と「リラックスする時のバランス」を意識的に練習し、適切な緩急をつけることが必要です。

3. 忙しい時とリラックス時、それぞれのバランスの取り方

  • 忙しい時のバランスの取り方  忙しい時には、タスクをこなすことに集中するのはもちろんですが、その中でも適度な休憩を取り入れることが重要です。1日の中に「深呼吸をする時間」や「短い瞑想の時間」を設けると、忙しさに飲み込まれず、自分のペースを保てます。
  • リラックス時のバランスの取り方  急に時間ができた時には、「今はリラックスする時間」と意識的に受け止めることが大切です。例えば、軽い運動や趣味を楽しむことで、DMNの過剰な働きを抑えることができます。また、「バランスが変わった」ことを自覚することで、不安や焦りが軽減されます。

4. 予期せぬバランスの乱れへの向き合い方

人生には、突然の変化や予期せぬ出来事が訪れるものです。たとえ普段からバランスを意識していても、不意にバランスが乱れることは避けられません。

このような時、重要なのは「バランスが崩れるのは自然なこと」と認識することです。そして、「今、自分はバランスを崩しているんだな」と冷静に状況を把握することが、不安を軽減するための第一歩です。

無理に元に戻そうとするのではなく、「今はこういう状況だ」と受け入れることで、心が軽くなる場合も多いのです。普段から、自分の心と体の状態を観察し、忙しい時もリラックス時も緩急を意識して過ごすことで、不意のバランスの乱れに対応する力が養われます。

まとめ

人生は、忙しい時期があれば落ち着く時期もあるように、常に変化の連続です。そして、そうした変化は予測できないことがほとんどです。そのため、まずは「バランスを完全にコントロールすることはできない」という前提を持つことが大切です。

大事なのは、バランスが崩れた時に「なぜそうなったのか」を認識すること。そして、その状況を受け入れながら適切な対処をすることです。DMNを活用した視点を持つことで、自分の体調や心の変化を俯瞰的に見られるようになり、不安を抱え込まずに済むようになるでしょう。

忙しい時のバランスと、リラックス時のバランス。この2つを日常生活の中で意識しながら、突然訪れる変化に柔軟に対応できる心と体を育てていきましょう。お互いに「今、この瞬間」を大切にしながら、より心地よい日々を目指していけると良いですね。

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この記事を書いた人

小森塾塾長

小森塾塾長 小森広嗣

小児科医師(小森こどもクリニック理事長、院長)、人財育成コンサルタント、「7つの習慣実践会」認定ファシリテーター

小児医療、健康教育、人財育成を通し、日本を元気にすること!!が使命です。本質を考え、悩みに方向性を与える力を大切に診療、教育活動をしています。

志ある仲間と共に成長の階段を登りながら、愛のある医療チーム創りを目標に、小森塾を開校しました。

ストレングスファインダー:未来志向、成長促進、戦略性、達成欲、学習欲

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