医療現場でプロとして成長するために〜厳しさ・リーダーシップ・チームの意識〜

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医療の現場では、一つの判断の誤りや遅れが、患者さんの治療の結果や安全に直結します。 だからこそ、個々の医療者が確かな判断力を持ち、チーム全体が確実に機能することが求められます。

近年、仲間との信頼関係を大切にし、互いに支え合いながら成長する「横のつながり」を重視する考え方が広まっています。

これは「サーバントリーダーシップ」とも呼ばれ、それぞれが役割を果たし、チームの成果を最大化するために主体的に動く姿勢 を意味します。

しかし、優しさや横のつながりを重視するあまり、「厳しさ」が軽視されてしまうとどうなるでしょうか?

チームが機能するためには、規律を守り、プロフェッショナルとしての意識を持ち、厳しさを受け入れること が不可欠です。

厳しい環境の中で鍛えられることが、結果的に長期的な成長と成功につながります。

では、なぜ厳しさが必要なのか? それを乗り越えた先に、どのような成長が待っているのでしょうか?

厳しさを受け入れることが、成長への第一歩

厳しさがなければ、本当の意味での成長はできません。

どんなに一生懸命に働いていても、厳しい鍛錬がなければ、無意識のうちに「楽をする」「単なる作業としてこなす」といった姿勢が身についてしまいます。

しかし、それでは医療現場での判断力や対応力が養われず、最悪の場合、患者の治療や安全に影響を及ぼすこともあります。

私は、外科医として、人の命を預かる究極の現場で安心・安全を確保するために必要な修行を積み、多くの厳しい経験を重ねてきました。

厳しい環境の中で、自分の甘さを徹底的に見直し、厳しさの中でこそ本当の優しさが育まれることを学びました。時には、理不尽に思える指導もありましたが、それもまた、自分の未熟さを自覚するきっかけとなり、医療人としての責任感やプロとしての基礎を磨く貴重な経験だったと感じています。

学生時代までの未熟な自分のマインドから脱却し、職業人としての厳しいレベルへと成長するために、このような訓練が必要だったのだと、今になって強く実感しています。

今振り返ると、こうした経験のすべてが自分を成長させてくれた貴重な機会であり、心から感謝しています。

厳しい指示に素直に従うことの重要性

厳しい指示に素直に従うことは、単なる服従ではなく、プロとしての判断力を鍛える訓練 です。

例えば、新人がまず身につけるべきなのは、上下関係の規律の中で「指示に従う練習」です。

上司が考えを巡らせている間、「じっと待つこと」「焦って返事を求めないこと」

そして、その場からすぐに離れず「空気感や空間を共有すること」

これらは、マインドの共有や学びにつながります。

そして、適切なタイミングで指示を受けるために、「すぐにその場に駆けつける」「常にアンテナを立てておく」「素直に指示を聞き、即座に行動に移す」ことが不可欠です。

これらの姿勢は、医療現場では当たり前のスキルです。もしそれができなければ、独りよがりの仕事になりかねず、自分の作業に没頭してしまい、チーム医療の基礎が崩れてしまいます。

特に救急の場面では、指示を出す側と受ける側のリズムが合わなければ、致命的なミスにつながります。

また、厳しい指示に従う柔軟性やレジリエンス(回復力)を身につけることは、プロとして本当の厳しい局面を切り抜けていくために必要な学びのひとつです。

患者の状態が急変したとき、チーム内で迅速な判断が求められる場面では、まずは厳しい指示に従い、それを実行することが最優先になります。

厳しい指示を受け止め、それに素直に適応していく訓練を積むことが、結果として患者に安心を提供し、穏やかな治療環境を生み出すことにつながるのです。

横のつながり(優しさ)は、縦の世界(厳しさ)の土台があってこそ

横のつながりや優しさを大切にすることは、医療の現場でも非常に重要です。しかし、それを本当に活かすためには、まず厳しさを乗り越え、自らを律する強さが不可欠です。

本当の優しさは、厳しさという確かな土台(縦の社会、上下関係)があってこそ成立します。 規律を守り、責任を果たしながら成長することで、仲間との信頼関係もより深まります。

医療の現場で活躍し続けるために、今こそ厳しさを受け入れ、仲間と共に高め合い、成長していきましょう。

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この記事を書いた人

小森塾塾長

小森塾塾長 小森広嗣

小児科医師(小森こどもクリニック理事長、院長)、人財育成コンサルタント、「7つの習慣実践会」認定ファシリテーター

小児医療、健康教育、人財育成を通し、日本を元気にすること!!が使命です。本質を考え、悩みに方向性を与える力を大切に診療、教育活動をしています。

志ある仲間と共に成長の階段を登りながら、愛のある医療チーム創りを目標に、小森塾を開校しました。

ストレングスファインダー:未来志向、成長促進、戦略性、達成欲、学習欲

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